コラム・特集

3.8 ネットワーク線図

IEハンドブック

第3部 メソッド・エンジエアリング

第3章 分析図法

3.8 ネットワーク線図

ある I r i またはプロジェクトを構成するアクティビティ (活動)の,相互関係を図示したものが,ネットワーク 線図である。同義語は,クリティカル・パス図表,パート(PERT)線図,アクティビティ・ネットワーク, またはリンク図表。

研究対象となる工程やプロジェクトは,多数のアクティビティから成り立っているのが普通である。一般に分析目的は,工数や資金などの経営資源の一定の制約のもとで,全経過時間の最適化をはかることである。

この種の分析で最も有名なパート(PERT)手法は, EDPを使った複雑かつ大規模なシステムである。ふつうネットワークは,何百,何千という構成要素からなる大型プロジェクトに応用されている。

方法研究への応用
ネットワーク線図の代表的な応用は,新工場建設とか新製品のマーケティングといった複雑なプロジェクトのスケジューリング問題や進度管理である。 しかし,以下にのべるような簡単な手書きのネットワーク図は,方法研究に関するかぎり,有効かつ経済的である。

応用例としては,大型設備の分解・保全・点検,圧延ミルスタンドの段取換え組作業,あるいは心臓外科手術などがある。

ネットワーク線図は,アクティビティの相関関係が複雑で,時間が長いという特徴はあるが,連合作業分析図の特殊型とみなすことができる。

作成要領

線図の書き方
簡単なネットワーク線図を図表3.3.14に示す。 これはアクティビティ(活動:線で示す)とイベント(事象: 円,時として正方形で示す)が書かれている。

イベントとは,プロジェクトの完了に至る過程での事象または状態であって,開始点と終了点とがある。図表 3.3.14に示すように,重要なイベントを区別するため,円の代わりに正方形を使うこともある各イベントには ,生起順に一貫番号をつける。

直線で示されるアクティビティは,あるイベントから次のイベントに至るために,ある部門で必要な1つ。または複数のオペレーションを意味する線の矢印は,両端のイベントの前後関係を示している。 各アクティビティの予想時間(分,時間,日,週など)は,アクティビティ符号の下に記される。 図表3.3.14では,アクティビティA,B,お よびCの期間は,それぞれ5,5,10日である。

パート(PERT)では,各アクティビ ティの時間見積りに,楽観値,最確値,悲観値という3種類の値を与え,確率分布の計算によって予想時間を計算している。

生起順序を明示するために,時間ゼロ,またはコスト・ゼロのアクティビティを点線で記入する。これを「ダミ ー・アクティビティ」 (図表3.3.14のアクティビティ)とよぶ。

クリティカル・パスおよびスラック時間
ネットワークのなかで時間の最も長い経路を,「クリティカル・パス」とよび,これが最少のプロジェクト時間となる 図表3.3.14では,イベント1からイベント 8 に至るクリティカル・パスは太い線 (すなわち,C―G-I―K)で示され,その期間は27日である。クリティカル・パスが2本以上のときもある。

クリティカル・パスからはずれたアクティビティは,時間的に余裕があることになる。この余裕分だけ遅れても,プロジェクト自体の完了日に影響は与えない。この余裕時間を,「スラック時間」とよぶ。

これは各アクティビティごとには記載されていないが , 図表3.3.14に示すように,クリティカル・パスの終わりのアクティビティにだけ,括弧でこの時間が示される。 たとえば,イベント1から5までのクリティカル・パスは,経路C―Gである。隣接の非クリティカル・パスB一Fは ,8週 (=16-8)である。

クリティカル・パスの使い方
ネットワーク線図の応用目的が,プロジェクトの完成期間の短縮であれば,クリティカル・パスの上にあるアクティビティに対してのみ,改善に努めるべきである。

他の経路に対しての努力は無駄である。またクリティカル・パスの短縮でも,それ以外の経路の期間よりも短くなるような改善も,同様に無駄である。

たとえば図表3.3.14において,イベント1からイベント5までのクリティカル・パス(16日 )は経路C―Gの改善だけでいえば,非クリ ティカル・パスBFのスラック時間,すなわち8日までは短縮してもよいが,それ以上は無用である。

方法研究におけるアクティビティの時間単位は,週や日数ではなくて,時間(hour)や分,がふつうである。 非クリティカル・パスには,労働力や資金などの経営資源を,過剰に投入している可能性がある。ある部分の 期日の遅れがあっても,プロジェクト の完了日を延ばすことにならないことから,このスラック時間と引き換えに,過剰な資源の削減ができる。後に述べる改善のための質問法は,このネットワーク 線図にも適用することができる。

本コラムは絶版となっている「IEハンドブック(サルベンティ編・日本能率協会訳・1986)」をアーカイブとして掲載するものです。このハンドブックの各章は多くの事例と理論を通して生産性向上に対するアイデアを提供するべく専門家によって執筆されています。基盤をなしているIEの考え方・原則はインダストリアル・エンジニアリングにかかわるすべてのひとに有用でしょう。

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