コラム・特集

2.7 実施

IEハンドブック

第3部 メソッド・エンジエアリング

第2章 動作研究

2.7 実施

あるアイデア(問題の独創的な分析)は実行し満足のいくアイデアのみが残る。 価値はどれだけ実行したかで測定する。作業方法に関する新しいアイデアの実行には 2つの問題がある。それは技術的な問題と人間の問題である。

参画
技術者が研究と分析を注意して進めていけば,技術的な問題は解決される。そのアイデアは技術的には実行できる。一方アイデアを出すのに関係する人たちを含めて手助けしてもらうことが,成功のために各人が「自分の ものJという気持で対応することが必要である。

本当にうまくゆくマネジメントでは,従業員はあ る必要性を ,心に持っていることを理解すべきである。そして,少なくともその傾向で――作業者は自分が満足がいくと考えないものは絶対に実行しない。人はなぜ仕事をするのかということを知ってい る。その人の判断は決してその人の仕事を強化することではできない。作業者は方法を厳密に確認するけれども,ある方法で示された仕事になぜ疑間をもつのかということをよく知っているのである。

 こうしたことは,1914年に L.ギルブレスによって提唱されたことである_作業簡素化の創始者,A.モゲンセンはその経験が未だ浅いときに,積極的な働きかけ は,参画によってその人たち自身を重んじられていると感じたときに達成できるということを知った「人の意 欲も大切である。参画を認識することは達成感に裏付けされたときに得られる結果である」 参画や参加に基礎をおいた,もっと新しい認識は,針を製造する工場で確かめられた。

インダストリアル・エンジニアは,グループ作業に対して現状の動作パターンや方法をビデオにとる。 個々の撮影が終わってからすぐに再生する。後で研究対象となったすべての作業の記録を一緒に観るために再生する。 ビデオはブレーンストーミングの触媒となる。ここで従業員に参画してもらうことによって,より多くの作業改善が出されたのである。

次の例は,精神的な作業を一緒にしている作業者の作業システムの問題である。その方法はある一定の生産量で何年も続けられてきたものである。経過時間の方法が何か改善はないかということで行われた。そして,撮影されたフィルムが昼食時に作業者に示された そこでリードマンがいかに多くの仕事をしているかということが話題になり,いかに「ソフト 」にそれを助けるかということになった。 多重活動分析図表をフィルムから作り,各 作業者,各機械の仕事の内容を判るようにした。アイドル,遅れは赤く塗りつぶして示した。作業者はフォアマンの言うとおりにその仕事の理解を示した。そして仕事の再配分,バランスをとることで20%の改善となった。そして,変更に不満をもつことなしに,作業者は自身の満足感を得られるようになった。

新しい方法の訓練
実施に当たっては,作業者の訓練が必要である。それは作業者が新しい方法に従って仕事をし,書類に示された標準作業方法を実施することである。 技術者がよく犯す誤ちは,判断や考えたりすることなしに標準とは違った方法,作業者が習慣的に行っている作業方法に変わってしまっていることを見逃してしまうことである。 新しい パターンは分析者が図表で示すのが効果的であるちゅうちょや作業ミスの原因となる,仕事のリズムが一時的に失われるようなことがあると,作業者は新しい方法に失望してしまって,改善前の方法に戻してしまうことになる。

作業者への説明は何を期待するのか―何らかの困難 はあるのか,それは経験することによって補うことができるのかをまず最初に理解し――新しい方法に反対するか,賛成するかの分れ道になってしまうことがある。 習慣となっているパターンをやめて,新しいものにすることは注意深く進めなければならない。

新しい動作パターンは,1対1をベースにしてデモンストレーションできる。それは「生 (live)」あるいはビデオとか映画でできる。普通より遅い速度で映写をくり返すことは,作業者に仕事のパターンを理解させるのに役立つ。指導書やそれを視覚化することは,たとえばスライド や写真帳を準備することによって,新しい方法を維持することができる。

ある新しい作業方法で新しい作業者を指導する機会をもつ技術者は,古い習慣を打破するための長所をもっていない。あるところでは,退職という結果から得た問題によって,厳 しい訓練を行うことを考え,新しい作業方 法を実行していった。新しい従業員は,通常の仕事として与えられたとき,新しい方法のつながり,モーションパターンを学ぶのに数日を費やした。そこで訓練センターが,半田づけ,溶接等について,正しい方法を訓練する。ために活用された。

継続的な改善を含めたフォローアップ
新しい作業パターンが設定された後は,何人かの作業者が過去の方法に戻してしまうことがよくある。 そこには人によって異なるし,装 置の状況が望ましくないとか ,購入資材が変更されている等のことで,永い間に種々の変化が起こる。 新しい方法にすぐに切り 替えることは, 仕事の場に不満をもたらすことになる。別の作業者の訓練も必要となる。

動作が崩れていくことを避けるためには,監査が必要 である「監査は監督者が作業方法をいつも気にするようにし,しばしば実施するのがよい」メソット 遂行上の矛盾が監査で見つかれば,すぐに改めるべきである。目的がなければ監査は無意味なものになってしまう。作業指導書あるいは視覚化したものは,新しいものがいつも提供されるようにしておく。動作パターンの内容やつながりは,元々の提案された内容に従ってチェックしておく.装置や工具は改造したりするのでよく確かめる。 生産性を向上し維持するためのメソッド プログラムは有効なものであり ,作業者が最適メソッドを反映した方法を続けられるようにする。監査は役に立つ。

技術者はどんな仕事のやり方であっても満足するものではない。 自分のところでの,あるいは他との競争,インフレーション ,そ れに製品改善がよりよい新しい方法を求めることになる。 新しい装置の一定の状況は維持しなければならないし,この章で示した実例は技術者が常に改善の余地があることを認識すべきであることを示したものである。

本コラムは絶版となっている「IEハンドブック(サルベンティ編・日本能率協会訳・1986)」をアーカイブとして掲載するものです。このハンドブックの各章は多くの事例と理論を通して生産性向上に対するアイデアを提供するべく専門家によって執筆されています。基盤をなしているIEの考え方・原則はインダストリアル・エンジニアリングにかかわるすべてのひとに有用でしょう。

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