コラム・特集

2.4 情報を集め,分析する手法

IEハンドブック

第3部 メソッド・エンジエアリング

第2章 動作研究

2.4 情報を集め,分析する手法

 

図表化
各種分析チャートを作るための方法は第3部 第3章に述べられている. けれども,それぞれには特徴があり,それぞれの手法の得意とするチャートを使うことが,分析を進めるうえで大切なことである.チャート をきっちりと書くことによって,分析者が改善するためのポイントをしばしば提供してくれることになる. チャートは直列に表現されるもので,ある時刻には一つのことが示されるだけであり,その一つ一つに分析者が考えを集中させることになる。

プロセスチャート
プロセスチャートは,最小限の記録で現状を表現することができる. 多くの情報をグラフ的にまとめて表現することができ,現状の作業のベースラインを与えてくれる. プロセスダイヤグラムは,研究している作業を図で表現することになる.プロセスや方法の表現を変える際に考えておくべきことは,正しいつながりでチャートに表すということである。

チャートは,現状方法に比較して,提案方法を定量的に比較することに使う。

考え出された変更のプロセスチャートは,ある複雑な状況を説明するためにエンジニアが使う。それは考えついたよく考え抜いたアイデアを他の人に理解してもらうための道具であり,それを作ることは,マ ネジメントにその提案を「イエス」と言わせるのに役に立つ. そのチャートは,どこに改善が行われているのかを示し,たとえばフィルム分析のように研究の詳細内容を正しく示すことにもなる。

プロセスチャートを分析するときは,次のことを考慮する 。
・不必要な作業
・作業間の長い移動
・作業間の2回以上の移動・作業の中での2回以上の検査
・流れの方向変更,同じ経路を通る
・長い経路を大量に運搬,直線的な流れで少量を運搬
・作業の組み合わせ
・作業域の関係を考えた貯蔵場所の位置
・部品や材料の配給スケジュールに起因する遅れ
・生産性を向上させるために順序を変更する

プロセスチャートは比較的大まかな手法である,けれども,この方法は複雑なプロセスあるいはいくつかの作業のセグメントのつながりを改善にするのには非常に有効である. この論理的なアプローチは,仕事の問題につ いて直観的に考えるよりも,よりよい結果を導いてくれる。

両手分析チャート
「作業域チャート」と呼ばれることもある,右手・左手分析チャートは,手で行われている仕事の内容やそれぞれのバランスの状況を分析し,視覚化するための方法である. オートメーションが進んでいるのにもかかわらず, 事務所や製造現場にはまだ多くの作業をする場所がある. そしてそれらは人間の肉体的努力が要求されているとこ ろである. 右手および左手分析チャートは,「要素動作」と呼ばれる動作の組み合わせでタスクを分解するものである. それぞれの要素動作は,始点と終点を容易に確認することができなければならない. こうすることは便利であり,理解を助け,作業サイクルを小さい部分に分けることになるのである。

次に示す事項を分析する際に考慮する 。

・どのような作業が行われているかその要点をまとめる 。
・現状方法でその作業を遂行するのにどれ位時間がかかるのか? これは改善の効果を測定するための基準となる
・1日 ,週 ,月当りの生産量
・作業の先行順序,すなわちある状態へ入っ てくる.あるいは出ていく作業を調べる
・すべての工具,機械,装置および材料を記録し,作業域でのそれらの配置をスケッチする

多重活動分析チャート
組立ライン,工事現場作業者,タイプ室,マシニングセンター,歯科医事務所,その他グループのようにかたまって仕事をしているところに使う。

そうしたところでは,各人の努力が互いに関連しており,仕事を進めるのに装置を使い,それらが組み合わされた状態で仕事が遂行されている. 多重活動および人一機械分析チャートは,改善するためにそれら の仕事を分析するという意味をもっている。

こうした手法を使うときには,データに時間値を含める必要がある. 多重活動分析チャートは,グループの人たちおよび機械の活動の組み合わせを時間を含めて表現するものである。時間値は標準時間資料,簡略化された MTM-2や MTM-3,写真(つづいて説明する)等から求めることになる。

こうしたチャートは,「両手同時動作分析チャート」というギルブレスの開発したのと非常によく似た方法で分析することになる。

最近の実例では,ギルブレスの考えた「ウインク (Wink)」値よりも,デシマルミニットを,時間値の単位として使う(ウインクは1/20,000分に等しい).もっと詳細な分析が必要なときには,フィルムのコマ数を数えたり,それをデシマルミニットに換算したり,その他の時間値に換算することもある。

多重活動分析チャートの目的は
・最適な作業チームサイズの設定
・職務内容,責任を公平に配分する
・待ちや遅れ時間を低減する

仕事の目的は,製品として売る価値をつけ加えることである. 多重活動分析の必要な理由は,非生産的な仕事,たとえば運搬,段取あるいは待ちを少なくして価値をつけ加える時間の比率を増大させることである。

写真によるデータの収集

概 要
動作研究のもっとも効果的なやり方は,映画を活用することであるある技術的な方法で撮影した映画は ,実際に起こったままの内容をエンジニアに提供してくれる. それらのフィルムは時間の使い方を改善するために,エンジニアが作業方法の研究のために色々な映写速度で何度も映写してみることができる。

映画は時間を圧縮したり,ひきのばしたりすることを可能にしてくれる。カメラはフィルムをある設定された時間で動かせることによって,動きとデータを関係づけ て記録することができる. 時間値の間隔を正しく記録するための色々の方法がある. たとえば,パルス発振器は タイミングランプを動かすのにつなぐことができる.つまり,フィルムの端にタイミングを示す目印を入れることができる。

撮影されたときと同じスピードで映写する標準の画面になる時間を圧縮するために,本来の映写速度よりも遅い速度で映写する. このように時間を圧縮する方法は,経過時間,パルスあるいは間欠写真と呼ばれる. たとえば建設現場で,あるエンジニアが,4秒毎に1フ レームである作業者を写真におさめたとしよう.この速さだと, 4時間の活動は,1本のスーパー8m/mのフィルムにおさめることができる。映写時間は18コマ/秒では33分であり,72分の1に圧縮することができる.こうしたフィルムを見ることで,観測者は望ましくない動き,あるいは観測中に気付かなかったような動きの不足をみつけることができる.動きがないとか,遅れをしばしば発見することができることは非常に重要なことである.もし,セメントを流し込み,仕上げをする作業者が,コンクリートミキサーカーを20分待つのが観測れたならば,その状況を改めるために早急に手をうつことになろう。

時間をのばしたり,ゆっくり撮影することは ,画面が実際の撮影速度より早くなることである. このことは人間の眼で確認するのには速すぎるような対象の研究に役立つ. この方法は時間拡大法と呼ばれる。

時間拡大=200÷16=12.5となる。

たとえば,運搬車に荷物を積み込むのが2秒という機械装置は,3~4サイクル毎に荷物をまちがったところにおいている。そこで200コマ/分でこの行動をフィル ムにおさめ ,そして16コマ /秒で映写したのである.すると,

時間拡大=撮影速度(コマ/秒)÷映写速度(コマ/秒)

スクリーンで見ることのできる行動のサイクル時間は, 125× 2秒 =25秒である. このように速度をおとすことは,機械の個々の部分の動きの関係,この例の場合は取り扱われる部分をスローモーションで観測するための分析を可能にしてくれるのである。時間拡大の方法は,失敗あるいは誤り,そして正しい手をうつべき対象を発見するのにしばしば役に立つ方法である。

図表3.2.2は映画で写しだすことのできる秒当リコマ数の範囲を示しており,それに経過時間あるいはパルスの方法から,非常に速い速度の写真の撮影までのシャッタースピードの範囲を示している.代表的な適用例が技術写真の色々な段階毎に紹介されている。

注意すべき言葉は順序である.フィルムでデータをとり,うまく分析するためには,ある種のレベルの基本的な熟練が必要であるエンジニアが資質があり,この熟練を得るための時間があれば,熟達した撮影ができるようになり,その結果は非常によいものとなる.もしも, 最初の試行でデータをうまく集めることに時間的制約があれば,外部の専門家を活用するのがよい。

技術的に良い画面は,フィルムスピード,フィルターシャッタースピード,アングル,レンズ絞り,距離,フレーミング,焦点合せおよび照明によって決まる。
映画の技術面については理解を深めることについてひきつづき説明をしているので参考にしてほしい。映画を活用することによって得られる利点は,他の方法では確認することのできない事実を記録できることである。

・研究結果が早くわかる。
・同時アクションの個々の分析ができる。
・静かな場所で詳細な分析が可能である。
・観測した方法の永久記録ができる。
・訓練,労働協約資料,それに熟練の転移のための資料となる。

装置の選択
撮影データを集めることは良い写真を得るために不可欠であり,普通のカメラ以上に配慮が必要である。 ある研究をするのに集めておくべきことは非常に常識的なことであり,他の研究のためには非常に骨がおれることもある。だから集めるべきデータは,対象とする仕事によって変わってくる.基本的な撮影装置には,カメラ,レンズ,レンズフィルター,露出計,三脚,分析映写機それに編集器が含まれる。 高速度および超高速度撮影では特殊照明が必要である。 けれども,経過時間,標準あるいは高速度撮影にそれぞれに対して,現状の照明を活用して,高感度フィルムあるいは必要なら増感処理という方法を組み合わせる。

技術者の組織は,汎用目的のカメラおよび補助装置をいくらか必要とする。 一方特殊なものになるとレンタルやリースを使うのもよい。写真の分析の専門家を活用するのも役に立つ。 この場合,その専門家の要求する装置を提供することが必要である。

会社がもっている器材を使おうと考えているのなら,まず最初に8m/m,か16m/mか,それにアクセサリーはどんなものにするのかの双方について考えることになる. 多分 V T Rも含めて考えることになろう. 図表3.2.3のリストは,これら3つの方法の比較評価をしたものである.忘れてはならないことは,使用したいものによって価格が違うということである. ホームムービィカメラは,有効期間中で50本以内のフィルムを撮影するのに使う。

分析者は通常の仕事の割当ての部分として1年に多くのカートリッジを使うことが考えられる.専門的な装置は,何フィートものフィルムをうまく使うのに役立つ. それは,調整も,修理もできる。もちろん,このような専門的なカメラは,多分ホームムービィの費用の5倍から 10 倍余計にかかることになる. 8m/m,16m/m,V T Rのどんなカメラでも,それぞれ推奨すべき特徴をもっており,レンズを通してみるという能力をもっている. ビデオカメラでは,撮りたいと思う対象を電気的なファインダーで見る.その像は,明るく明瞭で使い易いものでなければならない。自動絞りは撮影中に照明が明るくな ったり,暗くなったりするようなところでは役立つ装置である。

ズームレンズも特徴があるけれども,技術的な撮影には必ずしも有効ではない。単焦点レンズはレンズの仕組みが簡単なために,より多くの光を必要とする シャッターは固定または変動である. 固定シャッターは,たとえば13° の開き角度をもっているというものである 変動シャッターだと 2° から130° までの調節をすることができる。

便利なカメラは正確な断続ピン・レジスター機構をもっているものである。経過時間またはパルス写真を撮るためにはインターバロメーター (intervalometer)あるいはアクセサリーを備えていなければならない。内蔵露出計は戸外での写真には普通便利である. 直読式の露出計は室内での撮影に有効である. 静止写真ではじっかりとした三脚が必要である. 多くのフィルムが開発されて,撮影のときのこうした点は気にしなくてよいようになってきている. しかし,いずれにしても装置を正しい位置に保持することは重要なことである。

あるスーパー8m/mのカメラは,1秒間に10~250コマのスピードで撮影することができる. それは経過時間 あるいはパルスを1秒間に1ないし10パ ルスに切り換えることもできるということである. シャッタースピードはすべてのパルス値に対して定数値である. すぐに再生することは,ポラロイドフィルム・システムで使っているのと同様のカメラで可能である。

カメラ装置で分析映写機が互換性があることは,フィルム研究では必要である. そのような映写機は,フリッカーレス映写機と呼ばれるもので,1秒間 1~24コマの操作をすることができる. フィルムを損傷することなしに,ある単一のフレームを映写することが必要なものは, ボタンで動かしたり,止めたりすることができるデジタルフレームカウンターは分析に役立つ。

編集装置,たとえば巻き戻しリール,フレームカウンター,ビューワーそれにスプライスといったものが必要である。

V T Rシステムでは,ビ デオカメラ,三脚,ビデオレコーダー,プレーヤーそれにモニターが必要である. 3/4インチテープの経過時間の録画。 再生は普通のスピードで記録するのみならず,72分テープで1日から4日 (24ないし96時間)の記録をすることができる. ということは,1,440/72=20から5,760/72=80までの圧縮幅で撮影することができる。

言いかえると,経過時間法で0.67秒毎に1フレームから2.67秒に1フレームということである.この装置では,あるスピー ド幅の中で前進,後進させる1コマ映写で撮影内容を見るときに自由に変化させることができるということである。

ビデオカメラは,14/fのレンズロ径を使用するときには,その対象 (100luX)に,10フィート・キャンドルの明るさで十分な写真をとることができる. このカメラの重さはバッテリーなしで13ポンドで,現場で自由に 持ち歩くことができる。

研究
最初に考えるべきことは,フィルムから見つけたいこと,どんなデータが欲しいかを確かめることである. フィルムのつながりを決めるために「仮編集」をすることが時間やフィルムの節約になる. 何をフィルムに納めるか 何は納めないのか,そしてその頻度,含まれる作業域をうまく処理するために,は っきりと理解 しておくべきで ある フィルムにおさめる理由と同様に,説明はフィルムにどういう人が現れるのかということも含めてお くべ きである フィルムの中に確認 できる人から説明をうけ, 記録しておくことも役に立つ。

撮影をするのに必要なために人を入れ替えることも必要である。撮影場所においては,慣 れた人は作業やプロセスの明瞭にすべき疑間のある場所を指摘することができる. 追加の照明が必要な際には電気技術者に来てもらう。

データを含めて,時間,撮影順序そして関係する人達についてのスケジュールをたてる。

撮影に必要なフィルムタイプ,本数を決める。白黒フィルムははもっとも鮮明な画面を得ることができるし,感度もよいカラーフィルムよりもより広い範囲の現像ができる。一方カラーフィルムは,分析中に特徴を確認したり,ビューワーでみるのには利点がある.高感度フィル ムは,粒子が荒れる傾向にある。スーパー8m/mの カートリッジには,感度AS A160のカラーフィルムもある. もっとも明るい16m/mカラーフィルムならASA400もある.蛍光灯の光は色を変化させるので,フィルターで矯 正する必要がある前記ASA400の フィルムは,FLBフィルターでカラーを矯正することができる.けれども,そのとき感度はA SA200に下がる.分析をする目的ならば,カラーの出来栄えよりも,高感度の方が要求され る. 少々の矯正ならば現像のやり方でできる。

図表3.2.4は研究に必要なフィルムの量を決めるのに便利である。フィルム費用を最小にするためには,研究にあたり余計な撮影をしなくてよいように考える. 利用可能な光源で撮影できるように考える.これは映画の本質とされていることである.撮影光源は研究に関与する人を悩ませるものである,そして厄介な装置や特男りな無線送信機と同じように多くの仲間が必要である.室内作業で推奨される照明は50から200フィート・キャンドルである.だから通常の仕事は,特に照明がなくとも撮影することができる。

本格的な撮影をする前に,テストフィルムで撮影,現像してみるのもよい .次のようなことが,分析者が撮影がうまくいくかどうかを確かめることは役に立つ。

・分析したいと考えている作業者の両手の動きがうま く写っているか ?
・照明は丁度よいか,十分か?
・対象としていることに焦点が合っているか ?
・フィルムにおさめたいと思っていることで,はずれていることはないか ?
・はずれてよいと考えている様な細かなことが含まれていないか?

カメラ位置の変化は,テストのときに確かめ記録しておくとよい。 もしも,経過時間の方法で撮影するのならば,フィルム間隔を変えるのもよい. 対象をとらえるためのテストフィルムは,最後の撮影期間中に大げさな動作に対して試みることを少なくするために使う. ゆっくりとした化学的変化をフィルムにおさめるためには,スピードを変えることで可能となる. レンズロ径の調節は,最終の研究フィルムでこの種の問題を軽減することになる 。

これで本格撮影の準備ができたことになる. カメラの 説明書に従ってフィルムを装狽する。カメラはていねいに掃除するとよいレンズやフィルムの溝をロールやカートリッジフィルムを装狽する前にする_精密装置はこわれやすいフタをきちっとしめラッチを止める. 最初の何フィートかは,「スレート」(slate)の撮影をする. それには日付,部門,対象名,撮影者それにカメラやフィルムの情報等が書かれているチェックリストを作ることになろう。

長い距離にして焦点を合わせる。たとえば,もし対象までの実際の距離が20フィートならば,30フィートにセットすることが,対象範囲をすべてカバーできることになり,15フィートにセットするよりもよい。

長いショットでスタートし,一研究対象全体や方向を概括的にとらえるのによい. 次に中間あるいはクローズアップにもってい.もし,照明がレンズを絞り5.6,あるいはより絞って8,11等にできるならば,レンズは 8フィートよりはなれたどんなものにも焦点が合う。ズームや傾けたりすることは最小限にすべきである. ショット間のカメラの移動はよい。こうすることによって,フィルムを連続的に進めることができる. 磨いた表面,まがったフレーミング,それに本来無関係の材料で反射光が乱れるようなことは避けるべきである.カメラのそばでガムをかんだり ,タバコを吸うこともやめた方がよい. 腕時計や指輪はクローズアップのときにはとった方がよい. 余計な移動がなくてもよいように三脚や他のカメラを使うこともある。

高感度フィルムでは,適切な照明と対象領域の深度が問題となる. シャッター速度は2倍にするときには,いつも光を2倍にしなければならない. 一度止めてみてこのことを確かめる. 絞りの数を2倍に下げることは,フィルムヘの光が半分になることである. 同時に絞り値を増加することは,光が半分になることである. フィルムの変動値のバランスをとることは,分析に必要な十分なフィルムを作るためにエンジニアーカメラマンが協力して得ることのできるものである。

一度フィルムが出来上がると,オリジナルからコピーをすることを奨める. 必要なら何本もコピーをして,オリジナルを傷めないようにする。

コマ落し写真
「映画はフレームと呼ぶ静止画像の連続から成り立っており,ある標準の間隔で撮影され,それに続いてある標準のあるいは別の特定の間隔でみることができるようになったものである」.フレーム間の時間間隔を拡げることによって,写真間の経過を標準よりも早くすることによって,先に述べてきたように,撮影したときの実際の時間を圧縮してみることができる. その間隔は研究し うとする対象によって,そのスピードを変えればよい. その幅は15秒毎に1フレームから毎秒10フレームまで変えることができる.「対象作業の調査をするのに15秒以上かかるとどうか?」もしも見たいと思う行動が15秒以内ならば,写真に写っていても見逃してしまうかも知れない. こんな場合は,記録するのにも、 さわしい時間間隔にすべきである。もっともよく使われる間隔は4秒である. この速さでは, 2本のフィ ルムで8時間撮影することができることになる。

コマ落し写真は,何時間とか1日という期間を対象にした研究に活用するカラーフィルムの使用を推奨する.それは白黒フィルムよりも特徴的な画面が得られるか らである。ちょつとオーバー露出で写すのがよい,さもなければ,大切な細かな部分が陰になってしまって露 出不足になってしまう. ということは,露出計の指示目盛よりも半目盛進めておけばよい。カメラは光をさえぎるアングルで写すようにする. こうしておけば,作業のそれぞれの関係を容易にとらえることができる. また, カメラについているレンズが対象域のすべてをカバーできないときは,広角レンズを装着するとよい 。

もし ,標準スピードで研究したとすれば,フィルム費用が高くつく. のみならず,フィルムの分析時間も大きなものになってしまう. このようなコマ落しの撮影の例として,ダラス市でイングストリアル・エンジニアが行った例を考えてみよう. 消火栓のメンテナンスとコンクリート当て板の作業者について,その仕事の内容と,より効率的な作業者の配置を考えるために撮影された. 多重活動分析をフィルムで行い,仕事の機能の再検討を行い作業者の数を減らすことにした。

このような研究は,仕事の流れ,作業者のバランス,作業の遅れ,材料の運搬,倉庫業務および装置と作業者の労力の使い方等の分析に活用する. カメラはビジネスの目的からしてマイナス作用をしている種々の問題点を指摘してくれる. 複数の作業者,複数の機械の仕事が関 係をもちながら並行的に進められているようなときには,コマ落し手法は作業方法と全時間値についての双方の正しくて,完全なデータを提供してくれる。

コマ落しフィルムで,早 い手扱動作の始点と終点を把握しなければならないときは, 1秒間に4ないし10コ マで撮影する. 電気装置試験のための試験工程の作業のある組合せの研究は,6コマ/秒で撮影された。その結果多くの手を延はす,運ぶおよび胴や頭の動作が明らかになったのである。

コマ落し法の特徴とするところは,あるグループの研究結果によれば次のとおりである。

・永久的な記録が得られる。フィルムは何度でも調べたければ,映写してみることができる。
・フィルムには研究のため撮影した時間中のすべてのできごとを記録している 。
・最初の研究を経験すれば,それに含まれる作業者はカメラに影響されることなく仕事を行い,日常の習慣的に行っている姿をとらえることができる。
・分析者は,グループのそれぞれの作業者が何をして,何をしていなかったかということを厳密に知ることができる。
・コマ落し写真は,正しい大量のデータを集める方法としては,比較的費用のかからない方法である。

 

高速度写真

機械装置が危険を伴うような問題の解決のために,人間が含まれた問題の研究や分析のために,今まで述べてきた低速の撮影技法と比較して,高速度撮影を使うこともある. 高速度の処理をスローダウンするために,撮影速度を上げなければならない. 人間の眼は1/4秒より短い動きを識別することはできない. 人間の眼で観測するのには速すぎる行動や動きは高速度撮影でスローダウンすることができる. その結果,その行動のすべての内容を研究することができるようになる. 高速度撮影は人間の眼で認識することができない問題に対する試行錯誤を避けることができる。

 

コマ速度の選択は,研究対象の動作の速度によって決まる.たとえば,回転のこの周速なら ば150フィート/秒の速さである. 個々の歯やのこチップパターン の動きをとらえるためには,その動きをスローダウンすることによって,容易に識別することができる. このときのフィルム速度は61Xlから1,000コマ/秒である. 弾道および爆発の研究では,特別に装備された装置でフィルム速度は 14×104が必要である。けれども,高速度タイプの研究は50ないし500コマ/秒で動作研究ができることになる. これらのスピードは断続的に設定することができ , 通常の映画カメラで同じ機構を応用したものもある。

ある仕事に対して,正しい装置を選択するためには,撮影者が研究対象を理解しなければならない_フィルムから何を知りたいのか? 必要な情報に対して慎重な評価をすることは,作業の撮り直しのために時間がかかったり,費用をかけないためにも必要なことである.リアルタイムの関係をはっきりさせるための研究には,通常速度で撮影することになる。

高速度写真では,動作のラインに対して正しいアングルにカメラをセットすることが必要である. カメラから対象物までの距離は,妥当な像の大きさを確保するために,できるだけ接近すべきであり,研究する動作のトータル部分をカバーできるように十分さがっておくことも必要である。

動作が起こる間の時間フレームは記録をしておくべきである. そのためにはカメラに取り付けたタイミングラ ンプを使うある装置では,光ファイバーや光ダイオードで作ったデジタル・ディスプレイを使ってこうした記録を容易に行えるようにしている. 高速度撮影では,高焦点照明が必要である. 使用電力および回路の電気容量は撮 影に先立って確かめておく必要がある。予備の電源は, 撮影中に回路が故障したときに撮影を中断しなくてよいようにするために必要である. 撮影にあたっては,インダストリアル・エンジニアは,高速度撮影をして動作研究に活用するのなら,その方法について専門家のアドバ イスを受けたほうがよい。

ビデオテープ

多くのインダストリアル・エンジニアがビデオテープ (VTR)を使う動作研究の目的のためには,白黒で撮影するのが一般的である。それは必要な照明とか,カ ラー装置にかかる費用のためである. けれども,特別の費用をかけずに,通常の光源でも十分な画面が得られるカラーカメラも使えるようになるだろう。

VTRは真実性という点で長所がある。それよりも優 れた点といえば,フィルムを編集するまでもなく即座に再生することができることである。その内容は従業員の一部の人や,そ の監督者の人たちに対しても,ほとんど疑いをもたせるようなものはない. 全体的な状況の研究のために,ある特定の部分の詳細を記録するためにビデオテープが使われる.工場でいえば,しばしば生起する. ある作業について,ビデオはその作業方法を記録し, 1サイクルの時間を設定するのに使う。

ビデオを使うことは,本当の意味で,関係する人たちの参画を果たせることになる. テレビは誰にもなじみであるし,それをマネジメント・ツールとして活用することについては,何 ら不自然な感じを与えない。

再生の特徴は,研究しようとする作業について,そ れ に関係する人たちを含めてブレーンストーミングする対 象の部分を頭出しをするのにも便利である.音 も聴けるという 利点がある オーディ オは 作業者の遂行している。作業内容を説明するのに使う。ビ デオ装置の作業は撮影装置の作業と並行的に行う。当然のことであるが,カメラおよびモニターの双方に電力が必要である。

現在の装置はスチールもスローモーションもすぐにで きるようになっている. テープは再使用することもできるし,あるいは記録として永久保存することもできる. 写真の分析と同じように,技術者はVTRの記録と分析に熟練するためには研究と練習が必要である。

フィルム分析

標準的な方法
写真のデータを集めることが終われば,動作研究データが得られたことであり,それらを編集したり分析するための準備が終わったことになる. この分析のための実際的な方法をどうするのかというのはつづいて考えるべきことである. けれども,その前に次の質問に答えることも含めて,よく考えてみることが必要である。

・分析の目的は何か ?
・何を新しく見出したこととして提案するのか ?
・予備調査資料から何を得ることができるのか ?
・そのプロジェクト に使うことのできる時間と費用は ?
・どれだけの長さのフィルムを現像したのか ?
・ざっとした観測でどんなアクションが考えられるの か ?
・どの作業がより詳細な分析を必要とするのか ?
・どんな図表化技術が問題をわかり易くするのに役立 つか ?
・ 定性的,定量的に測定をしてどんな記録をしておかなければならないのか ?
・情報を記録するのに適切な様式は ?

こうした質問に答えることは,論理的なアプローチを確立し,フィルム分析の手法を決めることにも役立つことである。

標準的なフィルム分析の手法は,データを得るために映写することによるものである. 詳細な分析は分析時間を短縮して行うために最低のフィルム速度で映写をするものである.詳細データはフィルムにおさめたときに始まり,どの程度の正確さかということを決めるまで考えておかなければならないことである。

すでに述べてきたように,分析方法として1コマ送りのできるフィルム分析映写機は,前進および後進で,1~24コマ/秒の映写ができる. 映写速度と方向は,問題を考えようとする対象を観測するために即座に変えることができる. 逆転で分析することは,通常の正転で分析する方法では観測できない問題の動きを認めやすくし てくれる。こうしたプロジェクターには,コマ数を数えるのに便利なようなカウント 表示装置がついている. 経過コマ数に,カ メラスピードに従ったコマ当り時間をかければ,分析した作業の経過時間がわかる。

観測および分析の方法は,対象フィルムを少し見てみればわかることである_目的によって分解したパーセントが得られる. すると問題となる部分はすでにわかったことになる. 必要性によって色々なスピードで問題を調査することができる。

コマ送り分析
すでに述べたように,分析者は撮影した作業のすべてのコマ,あるいは活動のつながりを見るべきである. けれども,コマ送り分析の方法は,1つのユニットとしてのフレームの大きなかたまりを調べるとか,あるいは要素の内容の適切な確認のために1コマずつ送ることが役に立つ。

最初にフィルムを見れば,関係する活動の始点と終点を決める.それぞれの問題となる部分は次のように進める。

・何回かフィルムを前進させたり後進させたりして, 仕事の内容と手順を理解する。
・データを整理するのに適当な様式を考える。
・ある人あるいはある内容について,ス テップ・バイ・ステップで分析し,研究全サイクルの各ステップのコマ数を数える。
・フィ ルム分析をするときに,排除,改善あるいは順序変更できる要素作業や動作を記録する。
・同様のことを全サイクル続け,コマ数も数える。
・必要ならば,両手同時動作分析チャートに整理する。
・コマ数を時間値に換算する。
・効果的な変更点を見出すために,全体的に見直しをする。

この方法は,第3部 第3章で図表化技術として詳しく紹介されている。 代表的なフィルム分析のフォームは図表3.2.5,図表3.2.6および図表3.2.7である。

ループフィルム分析
短い仕事の場合には,作業サイクルの始点と終点でフィルムをカットする. フィルムのこれらの部分をつなぎ合わせてループを作る。

・フィルムの空白部分は始点と終点を示す 。
・ ループフィルムを映写機にセットする。

長いループフィルムでは,フィルムリールあるいは一時的なものでフィルムをかけられるようにする. ループフィルムはスクリーンに写され,同じ作業を何回もくり返してくれることになる. そのときフィルムの保持をしっかりとしておかないと,フィルムに傷をつけてしまうので注意を要する. 分析タイプのプロジェクターは,フィルムをこがしてしまうことなしに,普通の明るさで1コマずつ映写することができる 。

ループフィルムの分析は,現状の動作内容について行う. だから,動作の区切りを確認するためにフィルムを戻したりする.逆転映写は普通とは違ったもので,容易に不便な動作を示してくれることになり,その排除や改善に役立つ. 分析者は動作の改善について,サイクル全体のつながりも研究すべきである. ループフィルムを分析するための一般的な方法は,そ の内容を要素作業あるいは動作で記録することから始める.つづいて,最初の分析の修正を行い,そして次の部分の分析を行う. これを一定のフォームに詳細に記録していく。

ループフィルムの分析研究をすることは,複雑な仕 事を行うときに,ある明らかな動作パターンに従った作業方法をみつけ,その熟練を転移するのに役立つ. このような分析は,距離区分を見積もることによって,PTSを適用し,それら作業内容毎の時間値を求めることができる. MTM-2や-3のプラクティショナーのセミナーには,動作を理解し,PTSを適用するためにループフィルムの分析が含まれている. このような時間設定法は,現状と改善案メソッドの比較のための分析になり,時間値とメソッド改善の関係づけを示してくれることにもなる。

ループフィルムは,監督者が技術者や部下と一緒に作業をみる機会を与えてくれることになる. こうすることによって,ある特定の作業について,その動作パターンの理解を深めることに役立つ. ループフィルムを使って分析をするための映写機は,8m/mのものも16m/mのものもある. 長いループフィルムの場合は,カセットループ装置を使う。けれども,この方法は映写フィルムの長さに限度がある. 詳細なフィルム分析のために,図表3.2.5,3.2.6,および327が役立つ様式である。

コマ落し分析
実際の時間を圧縮したフィルムの分析は,経過時間分析によって示される作業の様子とずい分違った印象を分析者に与える。フィルムのコマが長い間隔のものは,非現実的な動きを示す一度こうした見方ができると,何時間とか1日というような期間を対象にして撮影された. フィルムの分析もできるようになる.こうしたフィルムは,長い時間のプロセスや人の動きを記録するのに使う. すなわち,研究対象作業について,連続サンプリングを行うものである. この研究に含まれている人,仕事の割当て,避けることのできない遅れ ,材料の取扱いそれに装置の活用等について種々の問題を明らかにしてくれる。

この方法で,秒当り頻度が高いコマ数のときは,仕事を行うときの人間の胴の動きについてもっと詳細な識別ができることになる. 図表3.2.2は,通常より早い速度でフィルムを映写するときのもので,1/10から10コマ/秒までのカメラスピードを示している. 一般的にいって, そこに示されているのは,作業者の連合した動き,全体の時間値,仕事の内容の分析といったことの研究に対するものである. 胴の動きの分析は,6ないし10コマ/秒が必要であり,ビルの建設や土木の仕事では10秒に1コマというようなゆっくりとした速度で撮影する。

ここに述べているフィルム分析の方法は,コマ落し分析にも使える. ある仕事について,フィルムのコマ数は現状の作業方法を理解するために色々の速度で分析することができる. はっきりとした変更や改善は,最初にフィルムをみたときに即座に見つけることができるものである.分析者は作業簡素化や動作経済の原則を適用し,改善をして生産性を向上させる新しい方法を考える。

この分析は,作業者がそれぞれ与えられた仕事をするときに,その仕事の内容やパフォーマンスを評価するのにも使うことができる. 研究した内容について,分析者は,そのアクティビティの時間値のパーセントを求めることができ,それらのアクティビティを評価するために, 費やした時間を明らかにすることができる. こうした情報は,労働力の配分や将来の訓練に役立てることができる. 分析者は問題の所在を明らかにするために,フィルムを色々なスピードで前進させたり後進させたりする. 経過時間の方法は,材料の流れ,書類の流れ,ファイルや検索,マテリアルハンドリングや物の置き方および保管の方法等の分析にも活用できる. この方法の長所は安いコストで多くのデータを集め,少ない時間で必要な分析ができることである.その他には,管理者や従業員は改善プロセスに含まれて行動をしていることになり, そのことが改善に対する理解を深め,正しく認識させるのに役立つ。

 

高速度分析
高速度フィルムの長所は, 1つのフィルムで2つの分析方法ができるということである. 第1には主観的な分析であり,スクリーン上の動きをただ見ているだけで気付くことがある. 行動内容の詳細や問題の基本的な理解はスローダウンしてみればわかる. 図表3.2.2では,標 準より速い速度で膨し,標準の速さで映写すればスローモーションにみえることを紹介している。このことは見る人にとって,それぞれの関係づけを明確にしながら個々のアクションをみつけることができるということである. その結果どんなまずいことも直し,新しい考え方の形を作ることも可能になる。

次に,正しいステップで得ることのできるデータを先に調べておけば,フィルムは撮ろうとするアクションを定量的に分析することを可能にしてくれる. それは,撮影時のデータの正しい記録であり,何か記録装置をもってきて測定することも可能である。

1秒に16あるいは, 24コマの標準の映写は,分析の時間が非常に遅い高速度の時間消費や非常に速い分析は非常に費用がかかる. そこで高速度撮影は, 1秒間に32ないし 48コマの速さで行い,動作研究にはそれが適当である。

顕微鏡作業の場合には,1秒40コマの撮影でその手作業の分析ができる. 撮影は顕微鏡の内と外の両側から同期した2台のカメラで行う. 手や工具の動きは,内部を写しているカメラ でみる外の動きや電気的データは外部のカメラでみる. 図表3.2.8は,顕微鏡を使ったとき の動作研究の実例を紹介している. 高速度撮影では,指の小さな動き,眼の動きなどを分析のためにとらえ, 記録することになる. 眼の動きは「CE(クリティカルな動き)コード 」で記録し,その「クリティカルな動きの内容」のところに記録する.眼の動きの情報は,オシロスコープを使って電気的な方法でとらえる。

 

VTR分析
ビデオを使った分析は,動作研究の分野でだんだんと使われるようになってきている. それは機器の発達のおかげである. ビデオカセットレコーダーや再生装置は, 前進と同様に色々なスローモーションもできる. このことは,ビデオの場合も,フィルムの場合と同じように分析することができるということである. ビデオはフィルムに比べて撮影後すぐに見ることができるということであり,技術者が仕事の研究をするのに大切な長所をもっている. またこのことは,撮影するときに関係するすべての人を参画させることができるということである. すぐに改善できるのかという可能性については,その場で討論することができることと,すぐにそれを実行してみることができるということである. 画面カウンターは装置の一部であり,リピート再生のための0点を分析者が探すときに役立つ. これをくり返しやっていけば,ループフィルムと同じことになる. ビデオにおさめられた活動の時間観測は,外部機構として時間研究,電気時計, デジタル時計等,撮影中に自動的に記録できるようになっている.図表3.2.5,3.2.6および3.2.7は動作研究にビデオを使った例である。

ビ デオで記録をすることの特に有利な点は,技術者がビデオとともに音声を入れることができることである. このことは,改善を二次元で進めることができるということである. 作業遂行時の音は,作業を分解するときのポイントとなり,分析をするのに役に立つ電気的なタイマーを活用することによって,仕事の比率をとらえたり,時間値を記録することもできる。
ビデオを使うことは,改善をすることであり,それを発展させ種々の動作研究を継続的に行うのにも役立つ。

本コラムは絶版となっている「IEハンドブック(サルベンティ編・日本能率協会訳・1986)」をアーカイブとして掲載するものです。このハンドブックの各章は多くの事例と理論を通して生産性向上に対するアイデアを提供するべく専門家によって執筆されています。基盤をなしているIEの考え方・原則はインダストリアル・エンジニアリングにかかわるすべてのひとに有用でしょう。

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