コラム・特集

1.1 メソッドデザインの役割

IEハンドブック

第3部 メソッド・エンジエアリング

第1章 メソッド・エンジエアリング

1.1 メソッドデザインの役割

最少限の資源を使って,必要な機能,目的,ゴールを達成することは,インダストリアル・エンジニアの最大の関心事であるこれを達成する方法をメソッドと呼ぶメソッドとは,目的を達成するための資源の活用方法を言う。

家庭でも,何かをしたり,仕事あるいはスポーツをする時,いくつかのメソッドを用いるメソッドは,私たちの身の回りの生活においても,欠くことのできないものである身の回りから生まれるメソッドの大部分は,個人としても,あるいは集団としても。

(1)メ ソッドが,時間,エネルギー,材料,金という限られた資源をいかに活用しているか
(2)メ ソッドが,物理的,心理的にいかに影響を与えているか
(3)サービスまたは製品によって,メソッドの結果あるいはアウトプットの品質がどうか
ということで決まっている.メソッドが利用する最大の資源は,時間である。

時間は,あらゆる資源の中でも,最も考慮すべき要素である。というのは,誰にとっても,一日の時間はまったく同じだからである。そこで,毎日,どういうメソッドを使うかによって,どれ位のアウトプットが得られるかが決まる時間は,生活のカギをにぎっているのである 。私生活においても,嫌なことをするには,少ない時間を,楽しいことをするには,多くの時間をかけようとする。また,時間は,給料を決める基準としても 使われ る。したがって,より少ない時間でできるメソッドは,単位当り 製品またはサービスのコストを引き下げることになる。20時間で生産できるテレビは,30時間で生産できるテレビより,コストが安いということである。

さらに,メソッドは,材料,エネルギー,(設備に使われた)資金の量をも決めるメソッドデザインは,これら資源の消費や浪費を低減し,単位当り製品やサービスのコストを下げることができるよりよい裁断メソッドのおかげで,スーツを作るのに消費される布地が5%節約することができれば,コストは下がるということである。

メソッドデザインによる生産性の向上は,生活水準の向上をもたらす。どんな社会でも,政治が貧困で,生産性がもたらすアウトプットの分配が悪い場合には,た とえ高い生産性をもってしても,低い生活水準である可能性があるが,低い生産性をもってして,高い生活水準を得ることはできない.我々は,メソッドデザインを通じて,限りある資源から,アウトプットを最大にするこなしに,十分な食料,きれいな水や空気,快適な住居など,多くの人々が望む社会的恩恵を受けることはできないのである。

メソッドデザインは,メソッドを使う人が費やす努力, 緊張,損傷の可能性,あるいは実際にメソッドを使う時の態度をも決めるものである長いリーチ(手を延ばす )を伴うメソッドや無理な姿勢を伴うメソッドは,メソッドを使う人を疲れさせる それは, 張,腱滑膜炎,その他の損傷の原因となり,彼らを非生産的にさせるそれは,おそらく,その仕事はもとより,そのメソッドにたずさわる人に,否定的な態度をとらせる要因となる。

メソッドデザインは,製品であれサービスであれ,そのメソッドから生まれるアウトプットの品質を決めるものであるたとえば,悪いラジオの組立メソッドは,時には部品取付不良の原因となり,時にはラジオそのものの不良の原因となることがある。また,銀行の出納係が,顧客に対するサービスに悪いメソッドを用いた場合,その銀行は,顧客の金に対しても,不注意であると思わせてしまうことになりかねないアウトプットが,期待される品質仕様を満たすものであれば,そのメソッドを使う人に,メソッドデザインは誇りと職務満足を与えることになるであろう。

本コラムは絶版となっている「IEハンドブック(サルベンティ編・日本能率協会訳・1986)」をアーカイブとして掲載するものです。このハンドブックの各章は多くの事例と理論を通して生産性向上に対するアイデアを提供するべく専門家によって執筆されています。基盤をなしているIEの考え方・原則はインダストリアル・エンジニアリングにかかわるすべてのひとに有用でしょう。

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