コラム・特集

1.4 職務分析計画の準備

IEハンドブック
第2部 職務とジョブ・デザイン

第1章 職務と課業の分析法

1.4 職務分析計画の準備

 

たいていのことに言えることだが,職務分析計画の成否は,その大部分が立案と準備の段階に払う配慮いかんに左右されるものである。そうした二,三の局面について簡単に論じておこう。

計画の目的の具体化

職務分析計画というものは,その必要性が認識された場合にのみ,会社(組織)によって検討されるべきもである。この必要性は,様々な考え得る目的または職務関連情報の用途に関係するものであるかも知れないけれども,組織(会社)としては,そうしたデータの他にも考え得る合理的な活用法について慎重に考慮した後で,その計画の具体的な達成目標を公表すべきである。

しかしながら,この点に関して次のことを認識しておくべきである。すなわち,所定の計画で入手した情報は,多様な異なる目的にも十分役立つかも知れないけれども,適切に達成し得る目標には,どのような分析計画であれ,自ずから限界があるということである。

 

職務分析資料の策定

職務分析計画の目的がいったん具体化してしまえば,次の段階は,必要な様々の資料を作成することである。
この段階で最も重要なことは,使用する職務分析の様式と,職務を実際に分析したり,最終的に職務記述書とか,コンピュータ打出し,あるいは最終製品に仕上げる際に依拠する手引書を策定することである。

職務分析票の様式と作成手引書は,明記されている目 的を達成するために,必要とする情報が収集できるように準備されるべきであり,そうした情報を取得するための調査票の様式(後に示す)と分析方法,調査手段 (データ収集段階で使用する調査票記入者または装置)を準備すべきである。

一般に行われる職務分析計画の場合には,調査票の様式は,所要情報項目の記入欄を設けただけの簡単なものである。この様式は,職務分析員がメモをとったり,最終的な職務記述書の形にまとめるのに使用することができる。

しかしながら,構造的職務分析手続の場合には,適当な質問項目を選択または開発する必要がある。のちほど,幾つかの例を示そう。

ところで,手引書は関係するすべての人に使えるよう準備する必要がある。ここでいう関係者には,たとえば,職務分析員および,もし 質問紙への記入を依頼するのであれば,職務在籍者が含まれる。

したがって,手引書での教示は,直載簡明でなければならないし,望むらくは,様式を最終的に決定する前に,一部の人を対象に試行してみるべきであろう。

 

職務分析員の選抜と訓練

分析員を使用する場合には,その選抜に配慮すべきである。分析員は,分析能力,作文能力,および面接や対人関係処理に役立つ個人特性を備えた人であるべきである。

可能ならば,分析対象職務のことを幾らかでも知っている人を選ぶべきである。分析員がその職務を全く知らない場合には,分析員養成計画の一つとして,問題とする産業の背景的関連知識や,その職務の含まれる工程,会社組織(the organizational structure)についての文献資料を読むことを課すべきであろう。

分析員は,従うべき 職務分析手続について訓練されているべきで,もしそれまでに分析した経験が一度もない場合には,二 ,三の職務分析「演習」を試みておくべきであろう。

分析計画に関する事前の周知

職務分析計画に着手する時は,部門の長をはじめ,監督者,職務在籍者などの関係者全員に対してその旨通知すべきである。この点に関して,経営側が,文書,その他の形で発表を行い,関係者全員に,その計画が経営上支持され承認されたものであることを知らせるのが,通常望ましいやり方である。

職務分析員が,その会社の特定部門の職務を分析する予定になっている場合には,正規の指示命令系統を通じて連絡手配すべきであろう。

そうした手配をするのが誰であろうと ,その分析を行う理由を全幹部職員に対して明示すべきであるし,職務在籍者に割かせる必要のある時間を含めて,どのような 内容のものであるかを明らかにしておくべきである。そうすれば今度は,職務在籍者の監督者が,そ の職務在籍者と分析について相談し,職務在籍者,職務分析員,その部門の作業活動いずれにとっても都合よい時間を設け,その分析日程を決定するはずである。

このようにして,職務在籍者の側の不安を鎮めることによって,職務調査の道は完全に開けるはずである。もし,分析員が,観察一面接併用法を採用する場合には,最初に作業者の作業ぶりを観察し,その後面接するというやり方が一番よく行われるやり方である。

しかしながら,両者を同時に行うことも可能であるし,あるいは最初に作業者に面接しておいて,まえもって課業の鍵となる側面を確認し,見落とさないようにする方法を選ぶ分析員もなかにはあろう。

この2つの過程をどのような順序にするかは,職務の性格と,どのような接近法が最も有効かに関して,分析 員が下す判断とに依存するものである。

作業現場で面接することは,その場所でもプライバシーが適切に守られ,しかも適当に静かで安全であるならば,可能である。そうでなければ,そうした条件を満たす場所を他に探して実施すべきである。

念のために,分析員は分析対象職務従事者が,その上司から分析の目的について事前に相談を受けており,自分の職務を分析されることに積極的に応じようとしているかどうか,再度確認すべきである。

本コラムは絶版となっている「IEハンドブック(サルベンティ編・日本能率協会訳・1986)」をアーカイブとして掲載するものです。このハンドブックの各章は多くの事例と理論を通して生産性向上に対するアイデアを提供するべく専門家によって執筆されています。基盤をなしているIEの考え方・原則はインダストリアル・エンジニアリングにかかわるすべてのひとに有用でしょう。

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