コラム・特集

1.1 はじめに

IEハンドブック
第2部 職務とジョブ・デザイン
第1章 職務と課業の分析法

1.1 はじめに

職務と課業の分析法(ここでは一般に職務分析のことを指す)では,人間労働(human work)に関する研究の方法を取り上げる。この分野は,かなり波乱に富んだ歴史を持ち,関心の上昇。低下期の交替,ならびに新しい重要な方法論と手続きが時おりに開発されることで特徴づけられる。

近年の動きは,2つの理由から注目に値する。すなわち,一定の新しい方法論の発展・活用と職務関連データの活用に関する関心の増大とがみられるからである。職務分析に対する関心の増大は,一部には,1964年の公民権法(the civil Rights Act)の特定条項,なかんずく,雇用と報酬に関連した規定の影響によるものである。

一般的に言って,職務分析は,職務関連データの収集,評価と記録の問題を処理することである。職務分析は,作業者の作業活動を研究するけれども,その作業者自身を分析研究することではない。

人間労働の分析において,作業者のやること(What the worker does)と ,作業活動の結果として成されたこと(What gets done as the consequence of his or her work activities)とを区別しておくことは,重要なことである。この点に関しては,後ほど詳しく言 及する。

用語法
職務研究(job study)の分野における用語法は,一定の用語が様々な意味合いに用いられているので,厳密かつ一義的なものとして使用される状態からはほど遠いものがある。

この点に関して,メルチングとボーシェは,訓練カリキュラムの開発に職務分析を用いることに言及しているなかで,この混乱した状態を次のように述べている。

「職務分析の専門家達は,課業(task),機能(function),責任(responsibility),職責(duty)等の概念を,あたかもそれらの区別が,明瞭かつ固定的なものであるかのように採用しているけれども ,単純にそうだとは言い切れないものがある。

カリキュラムの企画担当者は,こうした用語を,確固とした体系の中に位置づけようと目論んでも,実り多い成果を生むとは限らないことを,あらかじめ承知しておくべきである。

そのような危険のあることを認識した上で,少なくとも幾つかの場合には次のように言うことができる。すなわち,職責(duty)は 課業(task)よりも,また課業は職務要素(element or job element)よりも 広義なものと考えられていること,さらに職務要素は要素動作 (elemental motion)よりも広義なものとみなされているということである。

しかし 留意しなければならないのは,その差異が極めて小さく,ある職務の専門分化の程度を含めて,その用語が使われる文脈に依存しているとさえ言い得ることである。

たとえば,『職務分析ハンドブック』(The Handbook for Analyzing Jobs,1979)で は,「冷凍肉や チーズを薄切りにする」という活動は,即席料理人の職務要素であり,サンドイッチ製造職の職務にとっては一課業をなし,調製食品販売店員にとっては,職務全体となり得ることを示唆しているところである。

本コラムは絶版となっている「IEハンドブック(サルベンティ編・日本能率協会訳・1986)」をアーカイブとして掲載するものです。このハンドブックの各章は多くの事例と理論を通して生産性向上に対するアイデアを提供するべく専門家によって執筆されています。基盤をなしているIEの考え方・原則はインダストリアル・エンジニアリングにかかわるすべてのひとに有用でしょう。

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